2008年10月29日水曜日

中学時代のサイエンスフィクション海外編 1

 こればうらである。表は総ルビ表示の実験室である。しかし総ルビは携帯では見えない。そしてパソコンでも環境によっては見えぬこともある。そんなひとたちのために、ルビなしで見える場所としてここはある。しかし、うらなので表ではいえのうらのうらとか、うらのうらのおもてなどが思わず筆がすべって書くかもしれない。 そんなわけで、これが表。 http://blog.incl.ne.jp/imk/


 中学時代のサイエンスフィクション海外編
  
 これはmixiに書いた日記、中学時代のサイエンスフィクション海外編1~10を再構成したものです。

  中学時代に読んだSF?
 私が中学2年の年にハヤカワがSF文庫を出した。読んだのはほとんど文庫。ハヤカワと創元。どれだけ思い出せるだろうか。 

(補足)
 なんで突然こんなこと書き始めたかと言えば。ラジオで中学生に読ませたい本と言うのを聞いたから。最初は中学生に読ませたいSFと言うつもりだったが、高いところから物を教えるがらじゃなし、むしろボロボロで恥ずかしい自分の中学時代を素で書いちまえ、いくつになっても結構莫迦である、自分。書いてて思ったこと、恥ずかしいけど、始めると結構ハイになる、ホント。


 火星のプリンセス。バローズ。

 小5のころから買ったレンズマンは卒業式の後、全巻が揃い。その後何を読むかで迷った訳だけど、イラストに惹かれて買った。昔なら全力で否定しただろうけど、スッポンポンのお姉さんの絵が買った動機に間違いないだろう。色気づいたと言うかませてたんだなぁ。月額300円のこづかいで月に一冊づつ買った。本棚などには入れておけなくて、机の三番目の引き出しに入れていた。宝物扱いだった。 バローズを読んだのは火星が最初ではなく金星が最初だったと思う。小6の時友人が貸してくれた。当時創元が出していたのは火星と金星だけで、ペルシダーはハヤカワの銀背。SF読み始めたばかりで、銀背と言うかハヤカワの名前も知らなかった。
 

(補足)
 小学校の5年の時だったと思うが、親父の会社が倒産してしまい、引っ越しという事になった。私は山室から奥田に転校、その転校先で友人になったのがF田くんとT野くんの二人だった。記憶は前後するがF田くんは金星シリーズを貸してくれて、T野くんはレンズマンを見せびらかすように持っていた。、私はこのT野くんが持っていた本の不思議なイラストが見たくて見たくて堪らなくて、貸して欲しいと頼んだのだが、どうやら彼も兄の本を持ってきていたようで、どうしても貸してくれなかった。悪いと思ったのだろう、代わりにと言って貸してくれたのがスカイラークである。いま思うと私のSFへの執着ってレンズマンじゃなくてスカイラークだったんだなぁ。 スカイラークが雲雀のことだと解るのはそれから随分後の話である。

 銀河帝国の興亡。アシモフ。

 中1の正月にお年玉で買ったと思う。本屋通いも慣れて来てシリーズものを狙い撃ちだった。ハヤカワもSF出してると言うのは解って来たけどその価値は全然知らなかった。

 (補足)
 アシモフは少年物(おそらく講談社)の鋼鉄都市と裸の太陽を読んでいたと思う。


 死の世界。ハリスン。

  宇宙兵ブルースだとか銀河遊撃隊などを知ったのはずっと後の話。前回も書いたけど、私のセレクトはシリーズ優先。この辺りから自分が読んでいるのがスペースオペラと言う物だと解る。死の世界は1から3まであったが一番のお気に入りは2だった。


 非Aの世界。ヴォーグト。

  これもシリーズ世界と傀儡があった。後ろの解説でイシャーの武器店と武器製造業者がシリーズだと知る。ここでビーグル号の事を知るが買おうと言う気は起きなかった。


 中2の春にハヤカワ文庫が出る。おかげで頭の中も春になった。 話は前後するし本来ならば国内編で書く事なんだろうけど、この時期に初めて書店で本を注文した。タイトルはSF英雄群像。知る人ぞ知るあの英雄群像(親書版)である。 SF英雄群像と言う名前を、いったいどんな経路で知ったのかまるで覚えていない。今の様にインターネットがある訳ではないし、SFマガジンなんて在る事も知らなかった。おそらく創元の文庫が載せている解説からだったのか、回りにはこの道に詳しい先達はいないし、まるっきりの手探りだった。今思うとそれが楽しかったので、続いた気もする。SFに関する鼻が利き始めたのはこの頃からだった。


 透明惑星危機一髪。ハミルトン。

  スペースオペラの三大タイトルと言うとレンズマン、スカイラーク、キャプテン・フューチャだが、このキャプテン・フューチャに関する限りなかなか手が出なかった。理由はまず高い。当時このシリーズはハヤカワの銀背でしか入手出来なかった。しかもイラストなし。最後の理由は、前の2タイトルは銀河だけどキャプテン・フューチャは太陽系だしなぁ、今更太陽系なんてダサクって、だったと思う。当時の私明確に莫迦である。ハヤカワ文庫でこれが出て、イラスト多いし価格も銀背より安いので買った。そして夢中になった。ハミルトンは反対進化だとかフェセンデンの宇宙などの短編の評価が高い作家。でもそんな事知りもしなかった。この透明惑星がおもしろくて、銀背のキャプテン・フューチャを無理して買った。七つの秘宝と宇宙船強奪団である。


 創元とハヤカワ両方を買うのは、私の小遣いでは不可能だった。友人からはペルシダーと太古の世界(いずれもバローズ)借りたが、こういう友人間の貸し借りは等価交換が原則である、こちらの手持ちはレンズマンと火星、手駒が足らなかった。 


 中2の夏、私の行く市立図書館に小さな変化が起こり始めていた。と言うより私の意識に変化が起こって、今まで見えなかった物が見えて来ただけなのかもしれなかった。私はもう中毒に近い状態でサイエンスフィクションにのめり込んでいた。児童書のフロアにはジュブナイルが大量にあったが、一度普通書のサイエンスフィクションを読んでしまうとそちらには戻れなかった。私はシリーズものではなく単発ものに目を向け始めた。業界(それともこの道)で言う第一次暴走状態に突入していたのだ。 待っていたかのように増え始めたのである、SFが。それ以前は貧弱だった大人SFは、創元の文庫でラッセルの自動洗脳装置、ラインスターのガス状生物ギズモぐらいだったのが突如充実し始めたのである。


 結晶世界。ハラード。

  これは図書館ではなく自分で買った。ハラードは結晶世界、沈んだ世界、燃える世界、狂風世界という四部作が有って、私はシリーズだと思って買ったけど、全然内容についていけなかった。大人になってこの結晶世界を再読、いい話やんけ、何故かジーンと来た。大人にならないと解んない話も有るんですよ。ちなみに燃える世界、沈んだ世界は、いま大きなうねりになっている地球環境の問題を描いた作品。 


  図書館にバラードの短編集が現れた。時の声、時間の墓標、永遠へのパスポート、溺れた巨人等々。今だから正直に言うがさっぱり解らなかった。それでも何か気怠げなイメージは気に入った。至福一兆だったかな、とか時間の墓標だとかアトリエ五号星地区とか終着の浜辺とかが、なんとなく面白いと言う世界だった。いま初めて理解したのだが、私は短編をブラウンではなくハラードから入った人だったのだ。 図書館にハヤカワの文庫が入ってくるのは私が高校生になってからである。しかし当時、業界(あるいはこの道)の人々にとって早川イコール文庫ではなかった。早川は銀背。 私は図書館でその本格的な銀背に出会った。宇宙の戦士。ハインラインである。